
香美市に本社を構え、自社会館を県内4カ所に展開している「寺村葬儀社」。明治33年の創業以来、地域に根差した葬儀サービスを提供し続けている。
今回は、同社が進めているデジタル化による働き方改革をはじめ、多様なSDGsの取り組みについて、担当者である総務課の浦井理恵(うらい りえ)さんにお話を伺った。
SDGsの取り組みは「助け合いの延長」

寺村葬儀社では、数十年前から女性従業員の比率が約50%と高く、管理職にも多くの女性が就いてきた。そのため、「こうちSDGs推進企業登録制度に、あらためて登録する必要があるのだろうか」という声も社内にはあったという。
そんななか、SDGsのワークショップに参加した浦井さんは、「SDGsは特別な活動ではなく、助け合いの延長にあるものだ」と実感。
なにより葬祭業は、地域に欠かせない存在である一方、「暗い」「怖い」といったイメージを持たれやすい業種。推進企業への登録は、SDGsに関心を持つ若い世代に会社を知ってもらう、新たな接点づくりにもつながっている。
デジタル化で業務を大幅に効率化

そんな寺村葬儀社が、SDGs の最初に着手した取り組みが、デジタル化による労働環境の改善。
葬祭業という業種の特性上、24 時間対応が求められることから、従業員のシフト管理にも大きな手間がかかっていたが、総務課が主体となり、勤怠管理システムを導入。毎月50 時間以上かかっていた業務負担を、大幅に軽減することができたうえに、有給休暇の取得率も向上。従業員にとって満足度の高い改善につながった。
これを機に、注文管理や請求管理などもデジタル化し、利用者とのやり取りの利便性も向上。その成果が評価され、令和7年には「こうちデジ活アワード2025奨励賞」を受賞した。
多様な人材が働き続けられる環境づくり
人材の確保や定着を高める、さらなる取り組みとして、新入社員の有給休暇の即日取得や時間単位年次有給など、有給休暇の取得推進も進めている。

多様な人材が活躍できるように、定年後の再雇用制度をはじめ、社内の表彰制度など、働きやすい環境整備にも注力している。
昨日より今日、今日より明日

デジタル化のほかにも、多様な取り組みを意識している寺村葬儀社。
コンクリート造の葬祭会館では、「エネルギー利用の効率化」を目標に掲げたことにより、従業員のあいだで意識の共有が進み、空調設定の徹底や声かけが強化され、結果として節電につながった。また、これまで県外製品が中心だった御供養品のカタログに地場産品を取り入れるなど、地域経済への還元にも取り組む。

社内での防災訓練では、防災グッズの点検はもちろん、実際に防災食の試食や、避難所の開設訓練を行っている。
「昨日より今日、今日より明日」。その積み重ねが、持続可能な企業経営の根底に根付いている。