
高知市の北部地域を中心に社会福祉事業を展開している「社会福祉法人 秦ダイヤライフ福祉会」。平成13年の設立以来、特別養護老人ホーム「あざみの里」をはじめ、いくつもの福祉施設を開設し、地域に根ざしたサービスを提供してきた。
今回は、地域との共同防災訓練をはじめとするSDGsの取り組みについて、法人本部事務局長の山本むつ(やまもとむつ、写真右)さんに、お話を伺った。
地域の防災拠点であることは役割のひとつ
社会福祉法人の運営を定める「社会福祉法」で、地域における公益的な取り組みを行うことが求められていることも踏まえ、秦ダイヤライフ福祉会では、設立当初から、災害時の支援体制の整備や、地域福祉の活動に取り組んできた。
防災備品の備蓄はもちろん、炊き出しや起震車を取り入れた地域との共同防災訓練も実施。さらに山本さんが「職員の悲願でした」と語るのが、昨年、一宮南町にある「誠和園」に整備した防災井戸。災害時の断水対策として、南海トラフ地震を見据えた防災拠点化をより確かなものにしている。


「知ってもらう」ためのSDGs
「地域貢献を担うのは、福祉に携わる者として当然のこと」と山本さん。その一方で課題に挙げるのは、「知ってもらうこと」だ。長年の取り組みも、地域に十分伝わっているとは言いがたいことが現状。そこで、既によく知られる「SDGsの取り組み」という視点もふまえて伝えることにしたという。
「SDGsに取り組む一番のメリットは、私たちが日頃行っていることを、SDGsというひと言で伝えられることだと感じています」と山本さんは言う。
ICT機器を導入して「働きやすさ」を向上


ダイヤライフ福祉会が以前から進めてきた取り組みのなかには、防災活動の他にも、SDGsの目標と重なるものが多くある。そのひとつが、職員の働きやすさの向上だ。
例えば、介護の質と生産性向上を目指した「チューター制度」を早期に導入する取り組みは、専門性の高い人材育成に繋がり、現在では全事業所における介護福祉士資格取得率が70%まで向上している。
ノーリフティングケアの設備に加え、利用者の状態を把握できる「眠りスキャン」や、音声入力システムなどのICT機器も導入。職員の身体的負担を軽減するとともに業務効率化を図っている。利用者と職員の双方にとって負担の少ない環境づくりを進めている。
SDGsの取り組みが地域からの信頼に

高知市立一宮中学校の生徒たちや、保育園・幼稚園の園児たちの訪問もあり、世代を超えた交流も行われている。子どもたちの来訪は利用者の笑顔を引き出し、施設内に穏やかな時間を生み出している。それは同時に、子どもたちにとっても、福祉の現場を知る貴重な機会となっている。
こうした取り組みを通じて地域との距離が縮まり、「秦ダイヤライフといえば、この地域の福祉事業者」という認識が地元に広がる。SDGsを掲げた活動は、地域からの信頼に繋がっている。
山本さんは「今後も防災をはじめ、地域貢献につながるネットワークづくりに力を入れていきたい」と話してくれた。